2010美術館のアートマネージメントとは

東京都写真美術館を対象に美術館のマネージメント調査をする。

東京都写真美術館は、平成7年に総合開館した我が国初の写真の総合的専門美術館であり、中心となる「写真美術館」に、映像分野全般について、文化と技術の両面から総合的にとらえ体験できる「映像工夫館」を付設した、写真に限らず映像まで含めた世界的に珍しい文化施設である。
日本における写真文化のセンター的役割を果たすとともに、国際的な交流の拠点となることを目指し、1986(昭和61年)の第二次東京都長期計画「写真文化施設の設置」より現在にいたる。

平成20年度観覧者数は約41万5千人で、平成7年度の総合開館以来、総観覧者数400万人を達成した。

3階建ての建築は、3つの展示室(120カ所の温湿度計測システムを設置、24時間自動管理)を中心に、実験劇場・図書室・保存科学研究室・ミュージアムショップ・カフェ・ホール・書庫・収蔵庫(7500収蔵庫環境)がある。各収蔵庫は国内外作家作品、歴史的・古典写真と映像関連機材・作家周辺資料・映像資料用フィルム類に分類されており、それぞれの性質に適した温湿度が保たれている。

当館は財団法人であり、都立美術館として基本的な運営費は東京都が支えるものであるが、さらに広く支援・援助を求める目的の維持会員制をもうけている。また、都の公募により指定管理者制度である。

東京都写真美術館の収蔵品・作品資料収集はコレクション点数24839点ある。(平成20年度)
国内外の写真史の上で、評価の定まった芸術性・文化性が高い作品、東京を表現・記録した作品、各種の展覧会等で高い評価を受けた作家・作品を発掘収集している。
日本の代表作家については重点的に、その作家の創作活動の全体像を表現し得る点数等の、写真文化を理解する上で必要な写真作品(オリジナル・プリント)を中心に、幅広く体系的に収集することが当館における写真作品収集の指針である。

保存科学研究室は我が国最初の写真の保存・修復に関する研究室で、新規収蔵作品にも適切な収蔵処理・保存箱の作成・保護処理・修復の必要な収蔵作品への対応がなされている。写真保存用包材、修復用材料などの写真適正試験をはじめ、各種写真の保存条件、展示照明条件などの最適化研究を行っている。また、画像劣化原因の排除、劣化画像の復元処理などを含めた保存科学全般にわたる調査研究を進めている。


作品収集は、東京都の収集予算(委託費・補助金・施設の運営費・事業費)・自主財源に加え、当館独自の維持会員による会費(企業等からの支援)の一部による購入、寄贈、寄託を活用し行っている。平成21年度の収入は80261千円・維持会員費71900千円である。(平成21年度公益財団法人東京都歴史文化財団収支予算書)


当館の展示は、コレクションを活用し、調査研究に基づいた館独自の視点で、写真コレクション展・重点収集作家展・映像展・誘致展・テーマ性を持って多角的なアプローチにより紹介するシリーズ展・新進作家展・中堅作家の個展・国際展など、多彩なテーマの展覧会を開催している。
名作を紹介すると共に展覧会をパッケージ化し、館発の他館への巡回展を行う。

独自企画展は3つの展示室あるいはホールを有効に組み合わせ、全てが企画展として、固定的な常設展示と異なる、収蔵品を有機的に結びつける収蔵企画展を行っている。

写真の総合的専門美術館としての学芸員の仕事は、
写真に関するあらゆる情報を集約するとともに写真を含む映像全般に関する調査・研究(国内外の写真史、映像史、美術史や写真論、映像論、美術論)の成果を展覧会普及事業、紀要やシンポジウムなどに反映させる。
収蔵作品・資料の他館への貸し出し、収集、展示、保存、修復、普及を含めた総合的な活動を行う。
当美術館の試みである、学芸員の日々の仕事をブログというインターネットサービスを通じて綴ることにより、美術館の姿勢がより身近に聞こえてくる。古写真調査・写真展企画に伴い、地方美術館や資料館に赴き、巡回展の地方視察情報や写真に付随する情報(技法・カメラ・印画紙の種類等)を分かりやすく説明している。作家・資料提供者等への原稿依頼・印刷物制作・各イベントのチェック等、学芸員の仕事の数々が見てとれる。
展示構成は来館者に、「写真とはどういうものか」を感じさせる様な工夫をする。写真の裏面も見られる立体展示の試み等が顕著な例である。
展覧会会期中は、出品作家とともに学芸員による展示解説を行い、利用者が作品を深く理解する一助となっている。
教育普及事業としての学校と連携したスクールプログラムや、当館暗室を活用した写真プリント実技や、写真・映像のプロを目指す人を対象に、育成支援のためのワークショップの開催、地方での写真にまつわる制作授業の講義や将来の美術館活動と専門的な人材育成に向けた、インターン生の受け入れを行っている。

参考資料東京都写真美術館年報2008−09
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by artkzr | 2010-05-02 19:49 | 考察