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生涯学習を行ううえで博物館がはたす役割とはなにか

博物館が行う教育は展示以外に講演・講座をはじめとする多様な形態の学習支援活動がある。
調査研究活動を通した講演・講座や、実物の観察、見学や実験、工作、制作など、実物を通した学習支援が特色であり、幼児から高齢者まで、誰もが気軽に自発的に学習し、知を愉しむことができる場である。
社会教育機関であるとともに、学校教育を補完することや、家庭外家庭教育の現場ともなっている。わたしは、ミュージアムと生涯学習の勉強に出会うまで、生涯学習とは、定年退職後の高齢者達がする勉強であるという先入観を持っていた。
「五感に情報を受けることから学びが起こる」ことを知ってから、人間は生まれてから死ぬまで学び続けることができるということを知った。
本やテレビ、インターネットを通してどんな情報でも知ることができるわけであるが、目の前にしてみることとはまったく違うことである。
博物館で展示物をよく見ることは、絵でいえば細かいグラデーションやマチエルが見えてくるし、展示物の配置やそれらを収容している美術館自体の建築、自分以外の客などの空間としての全体を体感することができる。
それは意図的な学習だけでなく、偶発的、副産物的な学習にもつながる。
このように実物やレプリカなどのモノに触れたり体験することは、知識だけでなく五感に働きかけ、感性を伴う知の創造に貢献する。そのことは幼児や青少年だけでなく、大人にとっても有意義な体験である。
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by artkzr | 2010-09-14 19:35 | 考察

動物園で学ぶことの意義を考える

学校の教科学習や総合的な学習の時間を除いて、一般来園者は、教育を受けに動物園や水族館に来るわけではなく楽しみを求めて来園する中で、いかに知的な楽しみを得るのであろうか。
例えば、フクロウの檻の中に、大きな肉のかたまりが餌として置かれていた。
フクロウの食性は動物食で、主に小型哺乳類を食べるが、小型の鳥類、昆虫なども食べる。お客さんは肉の塊を目の当たりにして、「こわい、残酷」という感想を一様に持ったようだった。
ライオンの檻の前では、今度は食後の血の付いた大きな骨が転がっていた。知識として「肉食」である事実を持つ事と、実際に目の前で生活を営んでいるのをみるのでは、印象が異なる。
事実を自分の目でみることによって、「生きるということは、ほかの生物の命をもらっている」という真実を、動物を通して学ぶ事ができる。
もちろん、自然の状態で野生動物が暮らしていけるのが一番良い状態だ。しかし昨今の人間による急速な自然破壊により絶滅しつつある動物達がどのような条件下で生活が安定するのか、繁殖ができるのかといった問題を考えるにあたって動物園の果たす役割は非常に大きいといえる。
園内の檻毎に設置されている解説パネルは、クイズやまめ知識などの読んで得られる知識と、触ることや動かすというアクションをともなって得られる知識、実寸代の人形などが点在しており、対象は自然の事象のみならず、歴史や文化領域をも含み、その手法も単に教育的ではなく、遊びやレクリエーションの手法も取り入れられている幅広いものだ。お客さんたちは、レッサーパンダの前で異様な盛り上がりをみせていた。
レッサーパンダはかわいらしく、ペットとして飼ってみたいとおもわせる愛らしい顔をしている。こういった個別性・愛着性を通して、その生き物の「死」を深く考えることができる特徴をもっている。動物園とは子どものための娯楽にとどまらず、生物の形と機能、種の法則性を感じ取り、「生と死の対比」という体験の延長線上に人間と動物の共存についての思慮を深める意義がある。
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by artkzr | 2010-09-14 19:32 | 考察

東京都写真美術館を中心とした周辺教育機関との連携生涯学習プログラム

東京都写真美術館を中心とした周辺教育機関との連携生涯学習プログラムを考える。
東京都写真美術館は、平成7年に総合開館した我が国初の写真の総合的専門美術館であり、中心となる「写真美術館」に、映像分野全般について、文化と技術の両面から総合的にとらえ体験できる「映像工夫館」を付設した、写真に限らず映像まで含めた世界的に珍しい文化施設である。
日本における写真文化のセンター的役割を果たすとともに、国際的な交流の拠点となることを目指し、1986(昭和61年)の第二次東京都長期計画「写真文化施設の設置」より現在にいたる。東京都写真美術館の収蔵品・作品資料収集はコレクション点数24839点ある。(平成20年度)
国内外の写真史の上で、評価の定まった芸術性・文化性が高い作品、東京を表現・記録した作品、各種の展覧会等で高い評価を受けた作家・作品を発掘収集している。
日本の代表作家については重点的に、その作家の創作活動の全体像を表現し得る点数等の、写真文化を理解する上で必要な写真作品(オリジナル・プリント)を中心に、幅広く体系的に収集することが当館における写真作品収集の指針である。

生涯学習施設としての活動は、展覧会会期中、出品作家とともに学芸員による展示解説を行い、利用者が作品を深く理解する一助としている。
教育普及事業としての学校と連携したスクールプログラムや、当館暗室を活用した写真プリント実技や、写真・映像のプロを目指す人を対象に、育成支援のためのワークショップの開催、地方での写真にまつわる制作授業の講義や将来の美術館活動と専門的な人材育成に向けた、インターン生の受け入れを行っている。
展覧会鑑賞プログラム、実技的な体験プログラム、当館の展覧会業務や美術館活動についての概要説明、バックヤード見学、当館スタッフやプロの講師を招いて子どもから大人まで学べる場を提供し、本格的な写真体験が出来る。
一方向性が強いプログラムとして、写真美術館で開催した展覧会と連動した展覧会出品作家、展覧会関係者による講演会、アーティスト・トーク等のプログラムの実施や展覧会会期中に、出品作家や担当学芸員による展示解説を行うなど、08年から09年の間にのべ7801人の参加があった。「東京都写真美術館年報2008-2009」

「あ・ら・かるちゃー」とは、「カルチャーのア・ラ・カルト」を意味する造語である。美術館、博物館、コンサートホール、劇場、テーマパーク等、渋谷・恵比寿・原宿にあるさまざまな文化施設が協力して、文化で街を元気にしよう!というプロジェクトで、21館が参加している。発起人である東京都写真美術館、NHK、東急文化村が連携して平成16年9月に記者発表を行い、広くアピールした事業であり、本事業の趣旨はこれらの文化施設が連携することにより、従来にも増して、該当地域が魅力ある文化ゾーンとしての認知度を高め、文化芸術に触れる場や機会の提供の拡充を図ろうとするものである。
これにより人々の生活の中に文化が浸透し、地域社会に活力を与えることを目的としている。
「あ・ら・かるちゃー」の地域連携の特性をいかし、視覚障害を持つ人を対象とした文化ツアーを提案したい。
中心となる
1)東京都写真美術館では視覚に障害を持つ人々が研ぎ澄まされた耳で、何かを感じ、空気、風、匂いその方向へカメラを向けるような撮影ワークショップ2)NHKスタジオパークでは点字パンフレットの貸出しを活用し、ラジオやテレビの制作現場を肌で感じる体験
3)渋谷C.C. Lemonホールでは聴覚で楽しむコンサートを実施。
4)観世能楽堂での謡(うたい)のお稽古は、お腹に力を
入れて声を出し、健康に良い。
また仕舞(しまい)は能の一部分を、
扇一本を使って舞うもので、キッチリ
とした構えと端正な「型」で舞うもの
で、誰でも気軽に楽しめる。
5)ギャラリーТОМは、盲人(視覚障害者)が彫刻に触って鑑賞できる美術館である。
6)太田記念美術館では、江戸文化を聞いて学べる講座と、版画が施されている版木を指でさわって浮世絵の世界観を感じるワークショップ。
7)渋谷区ふれあい植物センターは熱帯植物を中心に約200種の植物が育つ温室があるので、植物のマイナスイオンを浴び香りや触れることで多様な植物を楽しむ。
8)ヱビスビール記念館では博物館をまわった後にビヤコミュニケーションスペースの試飲(有料)ができる「ミュージアム・バー」にて、商品に触れ、味わい、ビールに対する理解を深める。
9)JICA地球ひろば体験ゾーンでは、世界が直面する地球的規模の課題を、体験型展示で学ぶことができ、さまざまな体験キットや展示品などを通して、途上国の現状や、世界と私たちのくらしとのつながりを知り、「私たちにできること」を考える。
等の施設がツアーでまわれるように連携付け、参加者が自分の興味の赴く文化体験で視覚以外の感覚をフル活用し自主的に享受できるといった趣旨で、地域巡回バスを使用し、訪れる施設も自分で選択出来る。専用のパスポートを作成し、入り口で提示することにより一般客との差別化をはかることができる。参加者は個人で参加することも少人数性の団体で共に学びを深めることも可能である。当プログラムのサポートは、ボランティアを募り運営を行うこととし、双方の学びの場とする。
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by artkzr | 2010-09-14 19:30 | 考察