人気ブログランキング | 話題のタグを見る

地域社会におけるアートマネージメント

世田谷地域の芸術文化活動を調査し、地域社会におけるアートマネージメントを考察する。

現在、区では現行の文化・芸術振興「新せたがやアートプラン(文化・芸術振興計画調整計画)」の策定を進めている。
世田谷区のこれまでの文化・芸術の振興は、拠点施設を中心に行われて来たが、この計画の目指すものは、これまでの取り組みを一層充実するとともに、区民団体などと連携を進め世田谷全体に展開することである。
文化芸術は美術館や劇場で単に展覧・公演するだけでなく、地域の課題を解決し、街の活力を高める可能性があると考え、「まちの魅力向上」や「商店街の活性化」などの事業を設けている。
誰もが気軽に文化芸術に触れることが出来る環境づくりに向け、施設設備のみならず、サービス面においても、福祉現場などを参考にしながら、取組みを進めている。
現在、世田谷美術館では、視覚障害者から事前の相談があれば、鑑賞リーダー(ボランティア)による展覧会の案内を行っている。また、劇場での視覚障害者のための舞台説明などの取組みを行っている。

当計画の基本理念は以下の3点である。
1)文化及び芸術に関する活動における自主性及び創造性は、尊重されなければならない。
2)文化及び芸術を鑑賞し、その活動に参加し、及び創造することのできる環境の整備が図られなければならない。
3)文化及び芸術の振興に当っては、区、区民、民間団体、その他自治体等の相互の連携が図られなければならない。

文化・芸術が区民生活に根ざし、質の高い文化・芸術に日常的に触れることができる環境をつくるとともに、町が様々な文化・芸術を育み、また文化・芸術がまちの活力と魅力を高めていくなど、文化・芸術とまちの新たな関係により、誰もが住み続けたいと願うまち世田谷を創るため、多彩な文化資源を活かしながら、暮らしの中に文化・芸術が息づくまちをつくるべく区民生活と文化・芸術を様々な手法でつないでいる。
質の高い文化・芸術を育むとともに、それらを区民が支え、日常的に享受できる魅力ある世田谷ライフスタイルを創出し、文化・芸術の持つ力により、子どもがもつそれぞれの個性と創造性を伸ばし、情操豊かな人間を育む。
まちの活性化と魅力ある産業の創造につなげ、活力と輝きある世田谷を実現し、教育、産業、まちづくり、福祉など多様な行政分野を横断する総合的な取組みとして展開している。文化芸術の持つ想像力を、区内の産業振興や街づくりなどに活かし、文化政策を産業政策、環境政策、都市政策などと融合点推進する視点から取り組むといったそれらの業務をせたがや文化財団が行っている。

せたがや文化財団は、世田谷文化生活情報センター(世田谷パブリックシアター・生活工房)、世田谷美術館、世田谷文学館等を運営し、世田谷区と区民との連携を図りながら専門性の高い芸術・文化事業を展開するとともに、区民の主体的な地域文化創造活動などの支援や国際交流を推進し、地域文化の創造と、ふれあいと活力にあふれた地域づくりに寄与することを目的に設立された財団法人である。

取組みを推進する核とするとともに、総合的な文化・芸術の索引役として、
「情報機能の充実」「中間支援機能の充実」「地域との協働体制の強化」「シンクタンク機能の充実」「評価の取組み」、多様な機関等との連携・協働を進める、
「区内民間文化施設」「文化事業者」「文化施設におけるインターシップや研修の受け入れ」「大学施設の利活用」等を「せたがや文化財団」と各館が事業充実を図っている。

それらを先導する重点取り組みプランは、「まちの文化力を高める」とする「世田谷芸術百華」である。
秋の恒例事業として継続的に展開、「商店街アートプロジェクト」をより充実させていく方向である。
区内の文化資源を掘り起こす目的の、「バスツアー」は平成19年度から公民の文化施設・観光振興事業等と連携して実施している。
「アートネットワーク会議」とは区内に様々な自立的なネットワークが形成されることを目的としている。
また、区民文化活動の支援とネットワーク形成のために、参加団体を中心とした区内文化芸術施設等を紹介する「アート・マップ」を作成した。
次代に向けた投資・人を育む目的として自発性を促し「触れて・試して・理解する」ことを基本とした子供のための博物館を基に、夏休みを中心とした「遊びとこどもプロジェクト」は、特に体験型の子供向け事業を区内の多様な文化施設で展開した。
子どもへの取組みのより一層の広がりと充実を目指し「子ども文化・芸術サミット」を実施。
若手アーティストの企画提案を公募し、優秀提案に対して次年度に発表の機会を提供していく2カ年のプログラムで、プロフェッショナルとしての飛躍の機会となる支援として「世田谷芸術アワード 飛翔」を実施。
「音楽文化振興に向けた取り組み」としては、子どもの興味や意欲を体験から表現へ、さらには集団での表現へと発展させていくことのできる多様な道筋を提供する目的の「楽器体験ワークショップ」「ジュニアオーケストラ」、区民の音楽活動の発表の機会としての「アマチュアライブ」等である。

by artkzr | 2010-05-12 15:50 | 考察